自己紹介

 大学時代、授業の一環で伺った幼稚園にて、子ども同士のやり取りの面白さや複雑さに惹き込まれて以来、幼稚園・保育所・認定こども園等の保育・幼児教育施設での研究を続けています。その背景には、自分自身が子ども時代から感じてきた、同世代の人間関係や大人-子ども間の関係についての漠然とした問いがあったように思います。
 研究内容としては、園における規範(ルール、きまり、習慣など)に着目し、それらに関する子ども同士のやりとり、保育者の考えや施設の理念等との関連に着目しています。方法は、子ども同士のやりとりの観察調査をはじめ、保育者の方への質問紙調査やインタビュー調査などです。具体的なテーマは、規範に関する言葉のやりとり(「だめ」等)、園における多様なルールと保育者の判断、道徳性・規範意識に関する保育観などです。
 また、いくつかの共同研究をきっかけとして、リスキーな遊び(risky play)、自然の探究における感情や感覚(特に「怖い」など一見ネガティブなもの)、廃材の活用と子どもの経験、などにも関心を持っています。
 研究や研修等で学内外の実践現場に伺う機会も多くあり、保育者の方々の丁寧な関わりや子どもの姿からたくさんのことを学びつつ、その学びや研究成果をまた現場でも活かしていただけるような形で還元できるように努めています。

【大学院での研究を検討されている方へ】

 私は心理学(教育心理学、発達心理学)を入り口として、子どもの育ちや学びのプロセス、保育・教育、研究方法(観察法、質問紙法、面接法)について学んできました。特に研究方法に関しては心理学がベースになっていますが、保育実践を研究することは、心理学の研究と異なる側面も多くあります。また保育・教育の営みと学問(心理学に限らず)との関係はとても複雑で多様です。そのため、特定の理論や研究方法に限定せず、ゼミ生の方の関心に応じて丁寧に議論を進め、「研究を通じて、何を明らかにしたいのか」を一緒に言語化していくことを心がけています。過去の研究に学びながら子どもや保育・教育についてじっくりと考えたい方、現場での切実な課題を研究という視点で捉え直してみたい方をはじめ、共に学び合える方々をお待ちしています。
※詳しくは保育・児童学コース/領域のページをご確認ください。また、大学院オープンキャンパス(春)と保育・児童学コース/領域説明会(秋)が毎年開催されます。

【略歴】

2013年 東京大学教育学部 総合教育科学科 教育心理学コース 卒業
2015年 東京大学大学院教育学研究科 総合教育科学専攻 教育心理学コース 修士課程修了
2018年 東京大学大学院教育学研究科 学校教育高度化専攻 教職開発コース 博士課程修了 博士(教育学)
2015〜2018年 日本学術振興会 特別研究員(DC1)
2018〜2021年 日本学術振興会 特別研究員(PD)(白梅学園大学)
2021年 お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系 助教
2025年 お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系 准教授

【その他職歴】

2015〜2019年 東京成徳短期大学 非常勤講師(担当科目:児童心理学、心理学)
2018年 白梅学園大学 非常勤講師(担当科目:発達臨床英文購読)