研究テーマ
第二言語習得における臨界期仮説・年齢要因
修士課程の学生時代に,日本の小学校で,日本語を母語としない子どもたちと接しながら,Johnson & Newport (1989)の「7歳」の壁は,設定が遅すぎるのではないかと思ったのが,きっかけです。
修士論文・博士論文ともに文法を対象としていたので,今でも文法に一番興味があります。語彙については,臨界期仮説・年齢要因の枠組みでの研究は少ないのですが,最近の研究では,語彙・コロケーションと習得開始年齢を議論している研究もあります。また,実際にバイリンガルの子どもの教育においては,語彙力はかなり重要な位置を占めていると思うこともあり,JSLの子どもの語彙力を調査したこともあります。
この研究テーマは,移民の多い国のほうが研究しやすいとつくづく思うのですが,日本で日本語をL2とする人々を対象とした研究を行う意味を考えながら,これからも取り組んでいきたい研究テーマです。
上級レベルの学習者の文法能力・語彙力
臨界期仮説・年齢要因の研究では,対象となるL2話者は,ほとんどの場合,いわゆる上級レベルのL2話者です(母語話者レベルであることも多いです)。ですので,必然的に上級レベルになっても難しい言語項目に注目をします。
これまでの自分自身の研究者としての経験から,これからも文法や語彙に注目した研究を行っていくつもりです。ただ,子どもの頃から日本語環境で育っているJSLの子どもであっても,実は周囲の人間が思っているほど完璧には日本語の音韻を身につけていないと思っています。
継承語の習得研究
ハワイ大学在学中に「継承語としての日本語習得」に関わるプロジェクトに参加する機会があり,興味を持ちました。日本で,ベトナム系児童の継承語能力に関する調査を行ったこともあります。
まだ実践レベルで,習得研究には結びついていませんが,日本語教育コースの先生・院生たちとJSLの子どもたちの継承語・日本語能力を育てることを試みるワークショップを年に2回ほど行っています。以下のリンクをご覧ください。
日本語関係節の習得研究
博士論文で,調査対象とした言語項目が関係節でしたので,こちらにも少し興味があります。
科学研究費プロジェクト
「日本に定住・長期滞在する子どもの第二言語としての日本語能力に関する研究」
2017~2021年度,科学研究費・基盤研究C,課題番号17K02846,研究代表者
「日本語を母語としない子どもの語彙とコロケーションの知識に関する研究」
2011~2015年度,科学研究費・基盤研究C,課題番号23520619,研究代表者
[Website:関係者のみ]
★研究成果を教育実践に活かした例:和語動詞かるた(プリントの例)
「子供の第二言語としての日本語能力の研究-母語能力との関連に注目して-」
2008~2009年度,科学研究費・若手研究B,課題番号20720136,研究代表者